メタボリックシンドロームについて語るとき |
メタボリックシンドロームについて語るとき、まず内臓脂肪蓄積型の肥満について知らなければなりません。近年この内臓脂肪型肥満を発見することが健康維持のために重要とされ、早期発見のために腹囲を測ることが特定健康診査の項目ともなってきました。今回は内臓蓄積型の肥満について説明して行きましょう。
まず、体に蓄積される脂肪,体脂肪にはその蓄積される場所によって脂肪細胞とその代謝に違いがあり、体への影響も変わってきます。 体に蓄積される体脂肪は2つに分けられます。皮下脂肪と内臓脂肪です。皮下脂肪の蓄積は、内臓脂肪の蓄積に比べて病気につながることは少ないのですが、(もちろん過剰な蓄積はいろいろなデメリットを体にもたらします。)メタボリックシンドロームという観点から、どうしても避けたいのが内臓脂肪の蓄積です。
一般に女性が痩せたいと言っているときには、体重のことと皮下脂肪がどこに多くついているかということを気にします。しかし、残念ながら少しくらいダイエットしても皮下脂肪は急激には変化しません。実のところ皮下脂肪はなかなか付きませんが、一度蓄積すると簡単には減らないのです。逆に内臓脂肪は食べ過ぎや運動不足ですぐに蓄積しますが、食事制限や運動で簡単に減ります。つまり運動や食事の取り方次第で重大な疾病を招くメタボリックシンドロームから脱出できるのです。 次に体形による分類ではウエスト(W):ヒップ(H)比が男性でW/H>1.0,女性でW/H>0.8の場合を上半身型肥満(リンゴ型)といい、内臓脂肪蓄積型の人はこのタイプに多く見られます。
さて、問題の内臓脂肪は皮下脂肪に比べて代謝が活発で、その脂肪組織は中性脂肪を多く貯蔵した大型細胞です。これらは脂肪の合成や分解が活発で脂肪酸を大量に放出します。これら脂肪酸が門脈から肝臓に入り脂肪合成が盛んにおこなわれることで高脂血症を発症しやすくし、しかも、大量の脂肪酸は糖代謝にも悪影響及ぼします。そのうえ内臓脂肪型肥満になると、悪玉の脂肪蛋白(アディポネクチン)が増えてインスリン抵抗性が高まる(インスリンの効き目が落ちる)とされています。
ある研究では、高血糖、高血圧、高トリグリセライド(中性脂肪)血症、BMIの危険因子での調査し、動脈硬化の発症率は、これら危険因子がない場合に比較して単独の危険因子で5〜6倍、4つの条件がそろっている場合には約32倍にも高まってしまうという結果になっています。
つまり、内臓に脂肪をためるような生活習慣で、なおかつ血糖、血圧、中性脂肪に問題があると将来の健康という観点から大変危険な状態にあると言えるのです。 このコラムをお読みの方で、男性でお腹の周りが85cm以上、女性で90cm以上ある方は早急に生活習慣を改善しなければならないのです。 |
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2007.8.2
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松本 整 |
1959年5月20日、京都市生まれ。80年4月に門司競輪場でデビュー。通算1804走で415勝。2004年6月、第55回高松宮記念杯競輪で優勝し、G1最高齢優勝記録を更新、その直後に引退を発表した。現役時代から「中年の星」として、多くのメディアに紹介される。現在は、トッププロやオリンピック選手から高齢者まで、多くの人たちの競技力、身体能力の向上や健康増進の運動などを指導する傍ら、講演や執筆活動など多方面で活動中。 |
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・日本運動能力研究所 http://www.jeal.net/
理事長を務め、スポーツを通じて健康な社会づくりを目指す、特定非営利活動法人。
・クラブコング http://www.clubkong.com/
活動の拠点にし、独自理論・パワーチェンジトレーニングを実践しているスポーツクラブ。 |
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