怪我を根性で治そうとする者は一流にはなれない(その4) |
中野(浩一)を病院内で運動させたいと申し出たら、ドクターにとんでもないという顔をされました。たしかに、怪我の大きさから考えたら当然とも思われましたが、こちらには世界選手権がかかっているのです。
こっそりトレーニングを開始するしかありませんでした。まずベッドサイドでセルフスクワット(負荷をかけないで自分の体重だけでのスクワット)。少年マガジン(厚さ5〜6cm)を両足にはさみ、ベッドサイドに腰をかけて持ち上げたり、階段の昇降などによって、筋力及び心肺機能のトレーニングをスタートしたのです。
約10日間の院内秘密トレーニングの後、退院が許可されました。バストバンドで肋骨の骨折場所を固定して、サイベックスを使った筋力トレーニングを行いました。外傷の後には過度の負荷をかけないという意味でも、サイベックスは非常に有効なマシーンでした。
いくら固定しているとはいえ、痛くないはずはありません。
“イチ痛くないか? ” わざと意地悪く聞いてみました。 “痛いのは僕の問題ですよ。プロの先生達にお任せしたのですから、 どんな事でも言われた通りにやりますから大丈夫です”
痛いのは顔にも出さない中野と、痛いのを解っているのに知らん振りをする僕との駆け引きは、その後も続きました。 |
[
2007.10.10] |
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